🕳️ 水星はクレーターだらけ? 月と似ている理由をやさしく解説

左に水星、右に月が並んだ比較画像。両天体の表面に見られるクレーターの多さを強調するテキスト「水星はクレーターだらけ?」が中央に配置されている。 水星

🪐 水星って月に似てる?

水星の全面を捉えた高解像度画像。無数のクレーターが確認できる、岩石に覆われた水星の表面。NASAの探査機による観測データをもとに作成された。
※ 水星  出典:NASA
月の表面を斜めから捉えたカラー画像。クレーターや海と呼ばれる暗い領域が見られ、月の地形の複雑さを示している。NASAの探査データをもとに色補正されている。
※ 月  出典:NASA

1枚目の水星の写真を見ると、「これって月じゃないの?」と思う人が多いかもしれません。

どちらも灰色の地面に、まるくて大きな穴がいくつも並んでいます。

このボコボコした見た目がとても似ているんですね。

この丸いくぼみは「クレーター」と呼ばれます。

クレーターは、宇宙を飛び回る隕石(いんせき)などが天体の表面にぶつかってできたものです。

水星も月も、たくさんのクレーターが残っているため、まるで双子のような見た目になっています。

でも、本当に同じような星なのでしょうか?

じつは、見た目はそっくりでも、中身はまったくちがうということがわかってきています。

この記事では、なぜ水星がクレーターだらけなのか、月との関係や違いをやさしく解説していきます。


🌑 クレーターってどうやってできるの?

巨大な小惑星が惑星の表面に衝突する瞬間を描いた生成AIによるイメージ図。爆発による閃光と飛び散る破片が宇宙空間に広がっている。
※ この画像は生成AIによって作成されたイメージ図です。科学的状況の視覚的な理解を助けるためのものであり、実際の映像ではありません。

クレーターは、隕石や小惑星が天体の表面にとても速いスピードで衝突することでできます。

そのスピードは、秒速10キロ〜20キロにもなることがあり、これは時速にすると約3万キロ。

飛行機の数十倍の速さです。

このものすごいエネルギーで、ぶつかった場所の地面が一気にふき飛ばされ、

大きなくぼみができるのです。これが「衝突クレーター」と呼ばれるものです。

クレーターの大きさはさまざまで、直径が数メートルのものから、100キロ以上もある巨大なものまであります。

中には、くぼみのふちが盛り上がって「山」のようになっていたり、中央に「山」ができていたりするものもあります。

この形の違いも、衝突の強さや角度、大きさによって変わってくるんです。

地球でも隕石が落ちた跡は見つかっていますが、数はとても少なく、はっきりと残っている場所は限られています。


🌌 なぜ水星にはクレーターが多いの?

水星の表面を接近撮影した高解像度画像。無数のクレーターや断層が確認でき、水星の地質活動や衝突の歴史を物語っている。
出典:NASA

水星にクレーターが多く残っているのには、いくつかの大きな理由があります。

まず1つめは、水星には大気がほとんど存在しないこと。

地球には空気(大気)があるため、隕石が落ちてくるときに、

大気との摩擦(まさつ)によって燃えつきてしまうことがよくあります。

でも、水星にはこの空気がないため、小さな隕石でも地表にそのまま衝突してしまうのです。

その結果、クレーターができやすく、数もどんどん増えていきます。

2つめの理由は、水星の表面がとても古くて変化が少ないこと。

地球では風や雨、火山活動、地震などによって地形が変わりやすく、

クレーターができても時間とともにけずられたり埋もれたりして、見えなくなってしまいます。

ところが水星では、雨も風もなく、地面の動きもほとんどないため、

いちどできたクレーターが何十億年もそのままの形で残っているのです。

これらの理由から、水星は「クレーターの博物館」とも呼ばれることがあります。

太陽系の昔の様子が、そのまま保存されていると言ってもいいかもしれません。


🌍 地球とどう違うの?

アリゾナ州にあるメテオ・クレーターの空撮画像。直径約1.2kmの巨大な衝突跡が地表にくっきりと残されている。隕石の衝突によって形成された地形の代表例。
出典:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

地球にも昔はたくさんのクレーターがあったと考えられています。

でも現在、私たちがクレーターを目にすることは、あまりありませんよね。

その理由は、地球がとても変化の多い星だからです。

雨や風、川の流れ、植物の成長など、自然の力がクレーターを少しずつけずっていきます。

さらに、プレートの動きによる地震や火山活動で、地形そのものが変わることもあります。

こうした変化によって、クレーターが時間とともに消えてしまうのです。

とはいえ、いくつかの場所には今でもクレーターがはっきり残っています。

有名な例がアメリカ・アリゾナ州にある「バリンジャー・クレーター」。

直径およそ1.2キロ、深さ170メートルもある巨大な穴で、約5万年前に隕石が落ちてできたとされています。

このような場所はとても貴重で、地球の過去を知る手がかりにもなっています。


🧲 水星と月はどれくらい似ているの?

水星と月の内部構造を比較した図。左が水星で、大きな金属核と磁場を示す線が描かれている。右は月で、比較的小さな核と異なる層構造が表現されている。
※ この画像は生成AIにより作成されたイメージ図です。実際の構造や色とは異なる場合があります。

水星と月は、見た目は似ているけれど、じつはかなり違う天体です。

まず、水星は月よりも大きくて重く、**内部に鉄でできた大きなコア(核)**を持っています。

このコアの影響で、水星には地球と同じように「磁場(じば)」があります。

この磁場があることで、太陽からの強いエネルギー(太陽風)をはね返す磁気圏も生まれています。

一方、月には大きなコアがなく、磁場もほとんどありません。

また、月は地球のまわりを回る「衛星」ですが、水星は太陽のまわりを回るれっきとした「惑星」です。

このように、水星と月はクレーターの多さや見た目は似ていても、構造や性質はまったく異なる天体なのです。


✨ まとめ:水星は宇宙の「記録帳」

水星にはなぜクレーターが多いのか──

それは、大気がなく、自然の変化も少ないため、何十億年も前のままの地形が残っているからです。

その表面には、たくさんの隕石の衝突跡がボコボコと刻まれていて、

まるで宇宙の昔ばなしを語っているかのようです。

見た目は月にそっくりだけれど、中身はぜんぜんちがう水星。

その表面を観察することで、太陽系がどのように生まれ、変化してきたのかを知るヒントが得られるかもしれません。

水星のクレーターは、**宇宙の歴史を閉じこめた「記録帳」**なのです。

 

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