🪐 水星って月に似てる?


1枚目の水星の写真を見ると、「これって月じゃないの?」と思う人が多いかもしれません。
どちらも灰色の地面に、まるくて大きな穴がいくつも並んでいます。
このボコボコした見た目がとても似ているんですね。
この丸いくぼみは「クレーター」と呼ばれます。
クレーターは、宇宙を飛び回る隕石(いんせき)などが天体の表面にぶつかってできたものです。
水星も月も、たくさんのクレーターが残っているため、まるで双子のような見た目になっています。
でも、本当に同じような星なのでしょうか?
じつは、見た目はそっくりでも、中身はまったくちがうということがわかってきています。
この記事では、なぜ水星がクレーターだらけなのか、月との関係や違いをやさしく解説していきます。
🌑 クレーターってどうやってできるの?

クレーターは、隕石や小惑星が天体の表面にとても速いスピードで衝突することでできます。
そのスピードは、秒速10キロ〜20キロにもなることがあり、これは時速にすると約3万キロ。
飛行機の数十倍の速さです。
このものすごいエネルギーで、ぶつかった場所の地面が一気にふき飛ばされ、
大きなくぼみができるのです。これが「衝突クレーター」と呼ばれるものです。
クレーターの大きさはさまざまで、直径が数メートルのものから、100キロ以上もある巨大なものまであります。
中には、くぼみのふちが盛り上がって「山」のようになっていたり、中央に「山」ができていたりするものもあります。
この形の違いも、衝突の強さや角度、大きさによって変わってくるんです。
地球でも隕石が落ちた跡は見つかっていますが、数はとても少なく、はっきりと残っている場所は限られています。
🌌 なぜ水星にはクレーターが多いの?

水星にクレーターが多く残っているのには、いくつかの大きな理由があります。
まず1つめは、水星には大気がほとんど存在しないこと。
地球には空気(大気)があるため、隕石が落ちてくるときに、
大気との摩擦(まさつ)によって燃えつきてしまうことがよくあります。
でも、水星にはこの空気がないため、小さな隕石でも地表にそのまま衝突してしまうのです。
その結果、クレーターができやすく、数もどんどん増えていきます。
2つめの理由は、水星の表面がとても古くて変化が少ないこと。
地球では風や雨、火山活動、地震などによって地形が変わりやすく、
クレーターができても時間とともにけずられたり埋もれたりして、見えなくなってしまいます。
ところが水星では、雨も風もなく、地面の動きもほとんどないため、
いちどできたクレーターが何十億年もそのままの形で残っているのです。
これらの理由から、水星は「クレーターの博物館」とも呼ばれることがあります。
太陽系の昔の様子が、そのまま保存されていると言ってもいいかもしれません。
🌍 地球とどう違うの?

地球にも昔はたくさんのクレーターがあったと考えられています。
でも現在、私たちがクレーターを目にすることは、あまりありませんよね。
その理由は、地球がとても変化の多い星だからです。
雨や風、川の流れ、植物の成長など、自然の力がクレーターを少しずつけずっていきます。
さらに、プレートの動きによる地震や火山活動で、地形そのものが変わることもあります。
こうした変化によって、クレーターが時間とともに消えてしまうのです。
とはいえ、いくつかの場所には今でもクレーターがはっきり残っています。
有名な例がアメリカ・アリゾナ州にある「バリンジャー・クレーター」。
直径およそ1.2キロ、深さ170メートルもある巨大な穴で、約5万年前に隕石が落ちてできたとされています。
このような場所はとても貴重で、地球の過去を知る手がかりにもなっています。
🧲 水星と月はどれくらい似ているの?

水星と月は、見た目は似ているけれど、じつはかなり違う天体です。
まず、水星は月よりも大きくて重く、**内部に鉄でできた大きなコア(核)**を持っています。
このコアの影響で、水星には地球と同じように「磁場(じば)」があります。
この磁場があることで、太陽からの強いエネルギー(太陽風)をはね返す磁気圏も生まれています。
一方、月には大きなコアがなく、磁場もほとんどありません。
また、月は地球のまわりを回る「衛星」ですが、水星は太陽のまわりを回るれっきとした「惑星」です。
このように、水星と月はクレーターの多さや見た目は似ていても、構造や性質はまったく異なる天体なのです。
✨ まとめ:水星は宇宙の「記録帳」
水星にはなぜクレーターが多いのか──
それは、大気がなく、自然の変化も少ないため、何十億年も前のままの地形が残っているからです。
その表面には、たくさんの隕石の衝突跡がボコボコと刻まれていて、
まるで宇宙の昔ばなしを語っているかのようです。
見た目は月にそっくりだけれど、中身はぜんぜんちがう水星。
その表面を観察することで、太陽系がどのように生まれ、変化してきたのかを知るヒントが得られるかもしれません。
水星のクレーターは、**宇宙の歴史を閉じこめた「記録帳」**なのです。
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