🪐 水星の“1日”は“1年”より長いってホント?

地球では「1日=24時間」「1年=365日」が当たり前ですよね。
でも、太陽にいちばん近い惑星・水星では、「1日」が「1年」より長いという、ちょっとびっくりする現象が起きています。
いったい、どうしてそんなことになるのでしょうか?
この記事では、水星の時間のふしぎをわかりやすく解説していきます。
🔄 まずは「自転」と「公転」の違いから

この現象を理解するには、まず**「自転」と「公転」のちがい**をおさらいしておきましょう。
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自転:惑星が自分の軸を中心に回る動き
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公転:太陽のまわりをぐるっと1周する動き
地球では「1日」が自転の1回、「1年」が公転の1周にあたります。
私たちは1日ごとに太陽が昇り沈み、1年ごとに季節がめぐる世界に暮らしています。
でも水星では、自転と公転のバランスがとても特殊なのです。
この動きのちがいが、水星の不思議な「時間の流れ」を生み出しているのです。
☄️ 水星の“1年”はたった88日!

水星は太陽にもっとも近い惑星。
そのため、太陽のまわりをたったの約88日で1周してしまいます。これが水星にとっての「1年」です。
地球の約4分の1の速さで年が終わるなんて、不思議ですよね。
つまり、水星では1年=たった3か月ほどということになります。
もし水星にカレンダーがあったとしたら、年末年始がすぐ来てしまいそうです。
🕒 でも“1日”はなんと約176日!

では水星の「1日」はどれくらいなのでしょう?
水星は1回自転するのに、なんと約59日もかかるんです。かなりゆっくり回っているんですね。
しかし、ここで重要になるのが「太陽日」という考え方です。
太陽日とは、「太陽がまた同じ位置に戻ってくるまでの時間」のこと。
これが、なんと約176日!
つまり、水星では1回太陽が昇って沈み、次にまた昇ってくるまでに176日もかかるということになります。
結果として、1日が1年(88日)よりも長くなるのです。
たとえば、ある場所で太陽が顔を出したとしたら、次にその太陽が戻ってくるのは、半年近く先ということになります。
⚖️ なぜそんなことが起きるの?

このふしぎな現象の理由は、水星の自転と公転が3:2の比率でつり合っていることにあります。
具体的には、
水星は公転を2回(176日)するあいだに、自転を3回(3×59日)するというリズムで動いています。
この関係によって、太陽が再び空に戻ってくるのに176日かかるという結果になるのです。
このような**自転と公転の共鳴現象(スピンオービット共鳴)**は、太陽系の中でもとてもめずらしい動きです。
しかもこの動きは、太陽の強い引力と水星の位置が関係していると考えられています。
とても精密で、不思議なバランスで成り立っているのです。
🔥❄️ 水星では“昼”と“夜”が超ロングタイム!

水星で「1日=176日」ということは、昼と夜もそれぞれ長くなります。
太陽が昇ってから沈むまでが88日(昼)、そのあと再び昇るまでが**さらに88日(夜)**という感じです。
こんなに長い時間、太陽が出っぱなしだったり、暗いままだったりするなんて、地球では考えられませんよね。
しかも水星にはほとんど大気がないため、昼と夜で温度差が極端です。
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昼は430℃以上の灼熱
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夜は−180℃の極寒
と、600℃以上もの差があるのです。
こんな長時間、灼熱や極寒が続く環境では、生き物が暮らすのはとてもむずかしそうですね。
もしも水星に立っていたとしたら、夜明けから日没までの時間がとてつもなく長く感じられることでしょう。
✨ まとめ:水星は“時間感覚”がちがう惑星
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水星の「1年」は、たった88日
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でも「太陽がまた昇るまで」は176日かかる
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だから**“1日が1年より長い”**という、ふしぎな現象が起きる
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これは自転と公転が3:2のリズムで動いているため
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昼と夜が長く、温度差は600℃以上!
水星の時間の流れは、私たちの常識とはまったく違う感覚です。
地球の当たり前が、宇宙では当たり前じゃないということを、水星は教えてくれます。
空の向こうで、ゆっくりと時を刻む水星──
そこでは、「1日」が「1年」よりも長いという、宇宙ならではの時間が流れているのです。
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