🌕 はじめに
太陽にいちばん近い惑星「水星」。
小さくて目立たない存在に見えるかもしれませんが、
その内部には、とんでもなく大きなコア(核)が隠されているのです。
実はこのでかすぎるコアこそが、
水星という惑星にまつわる最大のナゾの1つでもあります。
今回は、水星のコアがどれほど異常なのか、
そしてなぜそんな構造になっているのかを、やさしく解説していきます。
🔍 コアって何?どこにあるの?

まず「コア」とは、惑星のいちばん中心部にある金属のかたまりのこと。
たとえば地球のコアは、主に鉄とニッケルでできていて、
その外側にマントル(岩石の層)や地殻(表面のかたい岩)が重なっています。
水星も地球と同じようにコアをもっているのですが、
なんと、水星全体の直径の85%近くがコアで占められているんです。
つまり、外側の岩石部分はほんのわずかしかなく、
ほとんどが「鉄のかたまり」でできたような構造になっているというわけです。
この割合は、太陽系のどの惑星よりも極端で、まさに異例中の異例。
そのため、科学者たちも長年この構造の理由を探り続けています。
🤔 なぜ水星のコアはそんなに大きいの?

この「コアの割合が異常に高い」という特徴に対しては、
いくつかの説が考えられています。
① 衝突で外側の岩石が吹き飛んだ説
昔の水星は、今よりもっと普通の構造だったかもしれません。
しかしその後、巨大な天体が水星に衝突し、
外側のマントル部分だけがはぎとられて宇宙へ飛び散った。
そんな衝撃的な出来事があった可能性があるのです。
この説では、残ったのはコア中心部だけ。
つまり、「今の水星は残された鉄のかたまりなのでは?」と考えられているのです。
実際、この説は水星の高密度をよく説明できるため、
有力な仮説の1つとして広く受け入れられています。
② 太陽の近くで重い物質だけ集まった説
もうひとつの考え方は、
水星は最初から「鉄が多い材料でできていた」という説です。
太陽のすぐ近くでは、高温すぎて軽い岩石が蒸発しやすく、
逆に鉄などの重い物質は残りやすいという特徴があります。
つまり、水星は「太陽の熱にさらされながら、重い物質だけを集めてできた惑星」だというわけです。
この考え方では、衝突ではなく自然な進化の結果として今の水星が誕生したことになります。
③ もともともっと大きかった説
もう1つ興味深いのは、
「水星はもともともっと大きな惑星だったのでは?」という考え方。
その後、太陽の近くで一部が蒸発したり、
ほかの天体との衝突で削られていったことで、
コアだけが目立つ構造に変わったという可能性もあるのです。
この仮説では、水星は失われた地殻の記憶をもつ惑星ともいえるかもしれません。
🌌 水星の磁場もコアのせい?

実は水星には、金星にもない磁場があることがわかっています。
これはコアがまだ液体の状態で動いているからだと考えられています。
地球と同じように、回転する液体コアによって磁場が生まれているのです。
小さな惑星でありながら磁場を持っているというのも、
水星のコアが異常に大きいことと関係があるといわれています。
この磁場の強さは地球の約1%と弱いものの、
その存在自体が水星の内部のエネルギーを物語っているのです。
🧠 なぜこんなにナゾが多いの?

水星は太陽に近すぎるため、
望遠鏡での観測がむずかしく、探査機もなかなか送れない惑星です。
そのため、まだまだわかっていないことがたくさんあります。
現在も、日欧の共同探査機「ベピコロンボ」が水星に向かって航行中で、
今後の観測で、コアの構造や進化のなぞも少しずつ明らかになっていくことでしょう。
水星は「見えにくい=無視されがち」だった時代を超え、
いま再び科学者たちの注目を集めているのです。
📘 まとめ:水星は鉄の惑星だった!?
水星は、小さくて静かな惑星に見えるかもしれません。
でもその内部は、地球とは比べものにならないほど巨大なコアでできています。
なぜこんなに鉄が多いのか?
それは、太陽に近すぎたせいかもしれないし、
あるいは、壮大な衝突によって「かけらだけが残された姿」かもしれません。
まだナゾの多い惑星・水星。
でもだからこそ、そこには知的なロマンと未来の発見がつまっています。
夜空で見つけたときには、
そんな鉄の惑星の正体に、少し思いをはせてみてくださいね。
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