🪐 水星には「空気」がないってホント?
水星には、私たちがふだん感じているような**「空気」は、ほとんどありません**。
分厚い大気におおわれた地球とはちがい、水星は真空に近いような環境なのです。
それなのに、「水星では風が吹くことがある」と聞いたら、ちょっとびっくりしませんか?
いったいどういうことなのか──
この記事では、そのふしぎな現象について、やさしく解説していきます。
🌫️ そもそも「大気」ってなに?

まずは基本からおさらいしましょう。
「大気」とは、惑星をとりまくガスの層のことです。
地球の大気には、酸素や窒素といった気体がたくさんふくまれていて、私たちはその中で呼吸しています。
そして、大気があるからこそ、風が吹いたり、雲ができたり、天気が変わったりするのです。
ところが水星には、こうした「空気の層」がほとんどありません。
大気の代わりに、とても薄い**「エクソスフィア(外気圏)」**とよばれるガスの層があるだけです。
この層は、大気というよりは、宇宙空間に近いもの。ガスの粒がまばらで、風を起こすような力はありません。
💨 じゃあ、“風が吹く”ってどういうこと?

それでは、どうして「風が吹く」なんて言われるのでしょうか?
じつはここで言う“風”は、空気の流れではなく**「太陽風(たいようふう)」と呼ばれるものなんです。
太陽風とは、太陽から飛んでくる高速の粒子の流れのこと。
具体的には、電子や陽子といった電気を帯びた小さな粒子(プラズマ)**が、宇宙空間に向かってビュンビュン飛び出しているのです。
この太陽風が水星にぶつかると、まるで“風に吹かれている”ような現象が起こります。
もちろん本物の風ではありませんが、粒子の衝突によって、水星の地表にも影響を与えることがあるのです。
🧲 水星には“磁場”があるって知ってた?

太陽風の影響をさらに面白くしているのが、水星の**「磁場(じば)」**です。
じつは水星には、地球と同じように**“自分の磁石のような力”を持っています**。
この磁場が、太陽風とぶつかることで**「磁気圏(じきけん)」**というエリアを作り出します。
磁気圏では、太陽風の粒子が磁力の影響を受けて、急に方向を変えたり、加速したりします。
こうして動きまわる粒子たちは、地表近くに到達して、水星の表面をたたくような現象を起こすことがあります。
まるで空気のある星のように、“風が吹いている”かのようなエネルギーの動きなのです。
ちなみに、岩石でできた惑星の中で磁場を持つのは、地球と水星くらい。とてもめずらしいことなんですよ。
🌌 水星で起きている“風のような現象”

このように、水星では**「空気による風」は吹きませんが、
太陽風と磁場のはたらきによって、“風っぽい現象”**が起きているのです。
たとえば、水星の昼側に太陽風が直接当たると、そのエネルギーが地表に届き、地面から粒子をはじき出してしまうことがあります。
このような現象は、地球のような厚い大気では起こりません。
大気がバリアになって、太陽風をはね返してくれるからです。
でも水星は、ほとんどむき出しの状態。だからこそ、太陽風の影響をダイレクトに受けて、
まるで風に吹かれるように、表面の粒子が舞い上がったりすることがあるのです。
✨ まとめ:水星の“風”は、宇宙からやってくる
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水星には、地球のような「大気」はありません
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でも、「太陽風」という粒子の流れが水星にぶつかっています
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さらに水星は**「磁場」**を持っていて、粒子を動かします
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これらがあわさって、風のような現象が起きているのです
空気がないのに、風が吹く。
そんな宇宙ならではのダイナミックな世界が、水星には広がっています。
「風のない星で、風が吹く」──
このふしぎな現象は、宇宙のしくみを学ぶうえでもとてもおもしろいポイントです。
水星のように、地球とはちがう環境を知ることで、私たちは**「風」や「大気」についても、あらためて考えることができる**のかもしれませんね。
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