🌡️ 水星の昼は灼熱・夜は極寒? 極端な温度の理由をやさしく解説

水星の昼と夜の温度差を対比したイメージ。左半分が赤く燃えるような灼熱、右半分が青く冷えた極寒の水星に、「水星の昼は灼熱、夜は極寒?」と書かれたアイキャッチ画像 水星

🌍 水星は「暑い星」……で終わらない?

水星と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?

多くの人が、「太陽に近い=とにかく暑い星」と考えるかもしれません。

たしかに、太陽からの距離がいちばん近い水星は、

昼間になると鉄が溶けるほどの灼熱に包まれます。

でも、それだけではありません。

なんと夜になると、気温は氷点下180度以下にまで下がるのです。

昼と夜の差は、600度以上──この温度差は、太陽系の惑星の中でも特に極端です。

しかもその理由は、「太陽との距離」だけではないのです。

大気の有無や、1日の長さなど、さまざまな要因が重なって、

この過酷すぎる世界が生まれているのです。

水星は、遠くて小さな存在に見えても、

実は私たちが住む地球とはまったく異なる、驚きの一面を持っています。


🌞 昼の水星は「灼熱地獄」!その温度は?

太陽に照らされて灼熱に輝く水星の昼側の地表。むき出しの岩肌と多数のクレーターが赤熱し、宇宙空間には巨大な太陽が浮かぶ
※この画像は生成AIにより作成されたイメージです。実際の観測写真ではありません。

まず注目したいのは、水星の「昼間」の様子です。

太陽の光があたっている部分は、**約430℃**にまで温度が上昇します。

この温度は、たとえば金属の鉛や亜鉛が簡単に溶けるほど。

人間はもちろん、ふつうの機械でも長くは耐えられない世界です。

では、なぜここまで高温になるのでしょうか?

その最大の理由は、太陽から近すぎること

水星は太陽からの平均距離がわずか5800万キロメートルしかなく、

地球の約3分の1しか離れていません。

そのため、太陽の強烈な放射エネルギーをダイレクトに受けてしまうのです。

しかも水星には雲もなく、太陽光を和らげるものもありません。

むき出しの岩の地表が、直接そのエネルギーを吸収してしまいます。


🌑 夜の水星は「凍てつく極寒」!氷点下180℃

水星の北極域における氷の存在が示された画像。多数のクレーター内に黄色の領域が示されており、氷の可能性があるとされる
※この画像はNASAの探査データに基づいて加工された視覚化図です。黄色の部分は氷が存在する可能性がある領域を示しています。出典:NASA

昼間とはうってかわって、夜の水星は驚くほど冷え込みます

太陽の光が届かなくなると、表面温度は**−180℃**にまで急降下。

これは、地球のどんな寒冷地よりも冷たく、

ほとんど宇宙空間と同じレベルの寒さといってもいいほどです。

しかも、ただ冷たいだけでなく、その状態が長く続くのです。

後ほど説明するように、水星の1日は非常に長いため、

夜になると長時間にわたって極寒のまま放置されることになります。

水星の地表には、氷のようなものが確認された場所もありますが、

それがなぜ存在しているのかは、いまだ研究が続いています。


🌬️ 大気がないと温度が“偏る”ってホント?

水星の片側が太陽光で灼熱に輝き、もう一方が暗く冷えた影に覆われた様子。大気がないために極端な温度差が生じていることを表現
※この画像は生成AIによって作成されたイメージです。水星の昼夜で極端な温度差が生まれる原因として、大気の欠如を視覚的に表現しています。

ここで重要なポイントがひとつ。それは、**「大気の有無」**です。

地球には、大気(空気)があって、太陽の熱をためたり、広げたりする役目を果たしています。

昼間に受けた熱を、大気が夜まで少しずつ保温してくれるため、急激に冷えることはありません。

ところが、水星にはほとんど大気が存在しません

一部にはナトリウムやカリウムなどの薄いガスがあるものの、

気圧にして地球の1兆分の1以下とも言われています。

つまり、水星の表面は太陽の熱をその場でしか受け取れず、蓄えることもできないのです。

だから、太陽が当たればものすごく暑くなり、影になればすぐ冷えてしまう。

**「空気がないと、こんなにも温度が極端になる」**という、まさに典型的な例です。

こうした性質は、月や火星のような他の空気が薄い天体にも共通する特徴です。


🕒 水星の「1日」が176日もあるって本当?

水星が太陽のまわりを公転しながらゆっくり自転している様子。複数の水星が軌道上に配置され、それぞれ異なる向きに自転しながら太陽を回っている
※この画像は生成AIによって作成されたイメージです。水星の自転と公転の周期によって、1日が176地球日になる仕組みを視覚的に表現しています。

水星の温度差がここまで激しい理由は、大気のなさだけではありません。

もうひとつの大きな要因は──水星の1日の長さです。

水星では、1回「昼」から「次の昼」になるまでに、地球時間で176日もかかります

つまり、

  • 昼が約88日間つづき、

  • 夜も約88日間つづく。

太陽に照らされる時間がとても長いので、表面はどんどん加熱されます。

逆に夜になると、太陽の光が一切届かないまま、ずっと冷やされ続けることになります。

これも、昼夜の温度差が異常なほど開く理由のひとつです。

ちなみに、水星は「公転周期88日」「自転周期59日」という特殊な関係を持っていて、

このために1日が176日という不思議なリズムになっています。

このスローな時間感覚も、他の惑星とは大きく違う特徴のひとつです。


🌌 まとめ:水星は「暑い星」じゃない。「極端な星」だ!

水星の片側が太陽の光で赤く灼熱に輝き、もう片側が青白く凍ったように暗い表面を見せる。極端な温度差を象徴するビジュアル
※この画像は生成AIにより作成されたイメージです。水星の昼と夜での極端な温度差と、太陽への近さを象徴的に表現しています。

ここまでの内容をまとめると……

✅ 水星の昼は、鉄が溶けるほどの高温(約430℃)

✅ 夜は、凍りつくほどの低温(約−180℃)

✅ その原因は、

・太陽に近すぎること

・大気がほとんどないこと

・1日が176日もあること

この3つが重なり、水星はまさに「極端すぎる環境」の星となっているのです。

太陽のすぐそばにあるにもかかわらず、そこには人類が想像する以上に過酷な世界が広がっています。

それでも探査機たちは、この星の秘密を少しずつ明らかにしてきました。

水星を知れば知るほど、宇宙はやっぱり奥が深いと感じさせてくれますね。

 

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