「地震」といえば地球のもの。そんなイメージがありますよね。
でも、実は私たちのすぐそばにある月でも揺れが起きているのです。
この現象は「月震(げっしん)」と呼ばれ、NASAの観測によって初めて明らかになりました。
この記事では、月震の正体や原因、そしてそれが人類の宇宙開発にどう関係しているのかを、わかりやすく解説します。
🌕 月震とは? 地球の地震と何が違うの?

月震とは、文字通り「月で起きる地震のような揺れ」です。
英語では「Moonquake(ムーンクエイク)」と呼ばれています。
月の内部でエネルギーが発生し、それが地面を振動させるという点では、地球の地震と似ています。
しかし、月は水も空気もない乾いた天体なので、揺れ方やエネルギーの伝わり方には違いがあります。
NASAは1969年から1972年にかけて行われたアポロ計画で、月に地震計(じしんけい)を設置しました。
この地震計がとらえたデータによって、「月でも内部が揺れている」ことが科学的に証明されたのです。
📊 月震には「4つのタイプ」がある

アポロ計画で収集された観測データから、月震は大きく4つに分類されています:
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深発月震(しんぱつげっしん)
月の深さ800〜1000kmほどの内部で起きる周期的な揺れです。
月の公転や潮汐力(地球の引力による変形)が原因と考えられています。 -
浅発月震(せんぱつげっしん)
月の表面に近い場所で発生し、揺れのエネルギーも大きく、最も危険とされます。
このタイプは1時間以上続くこともあり、月面基地建設へのリスクとして注目されています。 -
熱による月震
昼夜の温度差が非常に大きい月では、日中に太陽の熱で地面が膨張し、夜に急激に冷えて収縮します。
その繰り返しによって、小さな揺れが生じるのです。 -
隕石衝突による揺れ
宇宙からやってきた隕石(いんせき)が月にぶつかると、その衝撃で振動が発生します。
これは「外因的な月震」として扱われます。
⏳ 月の揺れは、なぜ長く続くのか?

地球での地震は、揺れがあっても数分〜十数分ほどで収まります。
ところが月の場合、いったん揺れが起こると1時間以上続くことも珍しくありません。
その理由は、月には揺れを吸収するものがほとんどないからです。
地球では、地中に水ややわらかい岩石があり、それらが振動エネルギーを吸収・減衰させてくれます。
一方、月の地殻は乾燥していて硬く、衝撃を反射しやすい構造になっているのです。
たとえば、金属の鐘を打つと「カーン…カーン…」と長く音が響きますよね?
月の月震も、それと同じように鳴り響くような揺れが続いてしまうのです。
🏗 月震と「月面基地計画」の関係

月震の存在は、将来の月面基地建設において重要なポイントです。
たとえば、NASAが進める「アルテミス計画」では、2030年代に人類を再び月に送り、長期的な拠点を築くことが計画されています。
このとき、もし浅発月震のような強い揺れが起きたら、建物や設備に被害が出る可能性があります。
そのため、NASAは地震の頻度や震源の分布、揺れの強さなどを現在もくわしく調べています。
地震に強い建材の開発や、月の安定した場所を選んで基地を建てる工夫も進められているのです。
💓 月の鼓動に耳をすませてみよう

月といえば「静かな天体」というイメージが強いかもしれません。
でも、その内部では確かにゆらぎが生まれているのです。
それはまるで、月がゆっくりと鼓動を打っているような感覚。
私たちが知らなかった月の“内なる動き”を知ることで、月がただの白い球ではなく、生きているような存在に感じられるかもしれません。
これから人類が月に暮らす未来を考えるなら、その鼓動に耳をすますことが第一歩になるのかもしれませんね。
🔭 次回予告:アポロ計画の裏話をやさしく解説!
次回は、「月に行った人は何人いる? アポロ計画の裏話をやさしく解説」というテーマでお届けします。
アポロ11号以外の知られざるミッション、そして成功の裏にあったトラブルや工夫についてもご紹介予定です。
どうぞお楽しみに!
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