🌕 はじめに
私たちにとって、月はとても身近な天体です。
でも実は、月は少しずつ地球から離れているって知っていましたか?
「えっ、どうして?」
「そんなことあるの?」
今回は、その理由と未来への影響について、やさしい言葉で科学的にひもといていきます。
📏 月は本当に遠ざかっているの?

答えは――本当です。
月は今この瞬間も、少しずつ地球から離れ続けています。
この事実は、NASAなどの研究機関によって、正確に観測されています。
使われているのは「レーザー測距法」という方法です。
これは、地球から月にレーザー光を発射し、その反射を受信して距離を測るというもの。
アポロ計画のときに、宇宙飛行士たちが月に反射鏡を設置していたため、
今ではとても高い精度で、月までの距離をミリ単位で測ることができるようになっているんです。
こうして積み重ねられたデータから、月が確実に遠ざかっていることがわかってきました。
🚀 どれくらいのスピードで離れてるの?

現在、月は1年に約3.8センチずつ地球から遠ざかっているとされています。
これは指の幅くらいのわずかな距離です。
「そんな少しだけ?」と思うかもしれません。
でも、この動きが何百万年、何十億年と続けば、地球と月の距離は大きく変わってしまいます。
たとえば、恐竜がいた約2億年前の月は、今よりもずっと地球に近かったと考えられています。
ちなみに、現在の地球と月の平均距離は約38万km。
これは地球約30個分を並べたくらいの距離です。
この距離が、ほんの少しずつですが、確実に広がっているのです。
将来的には、月が夜空で占める見た目の大きさも、わずかに変化するかもしれません。
🔍 なぜ月は離れていくの?

月が地球から離れていく原因は、潮の満ち引き(潮汐:ちょうせき)に関係しています。
月の引力が地球に作用することで、海の水が引っぱられ、
満潮と干潮という潮の動きが生まれます。
でも実は、地球の海も月に引力を返しているんです。
この潮の動きによって、地球の自転がごくわずかにブレーキをかけられ、
そのとき生じるエネルギーが月の軌道に伝わっていると考えられています。
この現象を「潮汐加速(ちょうせきかそく)」と呼びます。
月はこの力によって、すこしずつ外側の軌道へ移動しているのです。
こうした力のやりとりは、地球と月が重力でつながっているからこそ
🔮 月が遠ざかるとどうなるの?

今は1年に数センチずつですが、これがずっと続くと、月が地球の引力圏から離れてしまう可能性もゼロではありません。
では、月がどんどん遠ざかっていくと、私たちの暮らしにどんな影響があるのでしょうか?
科学者たちは、何十億年後には次のような影響が出るかもしれないと考えています。
🌊 ① 潮の満ち引きが弱くなる
月が遠くなると、地球への引力の影響が弱くなり、
潮の満ち引きの差が小さくなると予想されています。
これにより、海の流れや水温が変化し、
生態系や気候に影響を与える可能性もあるのです。
たとえば、干潟(ひがた)に住む生き物や、海のプランクトンの循環に変化が起こるかもしれません。
沿岸部に暮らす人々の生活スタイルも、長い時間をかけて変化するかもしれませんね。
🕰 ② 地球の自転がもっと遅くなる
潮汐の力は、地球の自転にも影響を与えています。
じつは、月の影響で、地球の自転は少しずつ遅くなっているのです。
今の1日は24時間ですが、遠い未来には、1日が30時間以上になる可能性もあると言われています。
これは1億年単位の話ですが、
地球の「時間の流れ」も、月の動きとともに少しずつ変わっているのです。
地球の環境と月の関係は、目に見えないところでしっかりと結びついているのです。
📘 おわりに
空を見上げると、いつもそこにある月。
でも、その月は静かに、しかし確実に地球から遠ざかっているのです。
この現象は、すぐに私たちの生活に大きな影響を与えるものではありませんが、
地球と月の関係が動いていることを実感できる現象のひとつです。
宇宙の変化はとてもゆっくりだけど、
それでも確かに、未来の地球は今とは少しずつ違う姿になっていくのです。
次回は、「月に地震がある?」というテーマで、
月の揺れ=月震(げっしん)について解説していきます。
お楽しみに!
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