私たちが夜空を見上げると、そこにはいつも同じ「月の顔」が輝いています。
でも実は、月には私たちの目に一度もふれない裏側があるんです。
この「月の裏側」、いったいどうして見えないのでしょうか?
そして、その裏側にはどんな世界が広がっているのでしょうか?
今回はそんな月の裏側にまつわる不思議を、やさしく解説します。
🔄 なぜ月の裏側は見えないの?

月が「裏側を見せてくれない」のは、単なる偶然ではありません。
そこには天体の動きに関する重要な仕組みがあるのです。
まず、月は地球のまわりを回っています。これを「公転(こうてん)」といいます。
そして同時に、月自身も回転しています。こちらは「自転(じてん)」と呼ばれます。
実は、月の自転と公転の周期が同じなんです。
どちらも約27.3日。この状態を「同期回転(どうきかいてん)」といいます。
つまり、月が地球のまわりを1周する間に、自分の体も1回だけ回っている。
その結果、地球からは月の表側しか見えないという不思議な現象が生まれるのです。
例えるなら、誰かのまわりをぐるっと歩いて一周するとき、
ずっとその人の方を向いたまま歩くイメージ。
自分も回っているけど、相手には正面しか見えていない──それが月の動きなのです。
🌍 月の裏側って、どんな場所?

見えない場所って、なんだかロマンがありますよね。
実際に月の裏側は、長い間「未知の領域」とされてきました。
地球からは見えないため、望遠鏡では観測できません。
だからこそ、かつては「裏側に何か隠されているのでは?」というウワサもあったほどです。
しかし今では、人工衛星や探査機によって、月の裏側の様子もわかってきました。
🔎 わかってきた裏側の特徴:
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クレーターがとても多く、ゴツゴツした地形が広がっている
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「海(うみ)」と呼ばれる平らな部分が少ない(表側のうさぎ模様は見えない)
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地球の重力や磁場の影響が届きにくく、環境が少し違う
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表側よりも太陽風などの宇宙環境にさらされやすい
特に「海」が少ないというのは大きな特徴です。
表側では大きな隕石(いんせき)が落ちた跡に「溶岩(ようがん)」が流れ出し、
それが冷えて平らになった「月の海」がたくさんあります。
でも裏側では、月の内部の構造の違いにより、溶岩があまり出てこなかったと考えられています。
その結果、クレーターがそのまま残り、デコボコの荒れた地形が多いのです。
🛰️ 月の裏側を初めて見たのはいつ?

地球からは見えない月の裏側。
人類がその姿を初めてとらえたのは、1959年のことです。
旧ソ連(現在のロシア)の探査機「ルナ3号」が月の裏側を撮影し、地球に写真を送ってきたのです。
このときの写真はぼんやりしたものでしたが、歴史的な大発見でした。
その後、アメリカや中国なども裏側の探査を進め、少しずつその姿が明らかに。
とくに2019年、中国の探査機「嫦娥4号(じょうがよんごう)」が、
人類史上初めて月の裏側に着陸することに成功しました。
さらに、探査機が小さな植物の発芽に成功したり、
地質のデータを送ってきたりと、裏側の探査はどんどん進んでいます。
🛸 「裏側に基地がある」という説は本当?

月の裏側に宇宙人の基地がある。
こんな都市伝説を聞いたことがある人もいるかもしれません。
でも、これは完全にフィクションです。
科学的に証拠は一切見つかっていません。
ただし、地球から見えないというだけで、
「何かがあるのかも」と想像がふくらむ気持ちもわかりますよね。
実際に映画やアニメでは、月の裏側が舞台になることも多く、
見えない場所は物語の舞台としても魅力的なのです。
📘 まとめ:見えないからこそ、おもしろい
月の裏側が見えないのは、「自転と公転が同じスピード」という自然のルールがあるから。
それはとても美しく、正確な宇宙の動きによるものです。
裏側には、表とはまったく違う荒れた地形が広がっていて、
「同じ月なのに、こんなにも表情が違うんだ」と驚かされます。
まだ人類が裏側に降り立ったことはありません。
でもこれからの探査で、もっと多くのことがわかってくるはずです。
見えないからこそ、知りたくなる。
月の裏側は、これからも私たちの探究心と想像力をかき立てる場所であり続けるでしょう
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